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安倍・トランプの関係は「ファミリー」同然だ 「イヴァンカが気に入っている」の深い意味


ドナルド・トランプ大統領をめぐる世論は百家争鳴、メディアも右往左往。


長年、ニューヨークとワシントンD.C.の弁護士として活躍している論客であり
「ウォール街の生き字引」でもある湯浅卓氏。


トランプ大統領をめぐる情報ジャングルにしかるべき道筋を示し
トランプ劇場の悪魔や狂人と呼ばれる閣僚たちを快刀乱麻し
迷走する評価、疑問をズバリ解き明かしていく。



 まず2月10日に予定されている日米首脳会談から解き明かそう。


ズバリ、大きな成功が見込まれる。


その道筋を示す前に、いま大騒ぎとなっている「大統領令(Executive Order)」
について触れておきたい。


 トランプ大統領は就任早々、多くの大統領令を発出している。


そのなかでメディアに大々的に取り上げられているのが移民・難民の入国規制だ。


これにはトランプ政権内の人種差別主義がからんでいる。


この人種差別問題は、これからの日米関係、日米交渉の成否を問う際に
どうしても知っておかなければならないポイントだ。


前任のオバマ大統領は大統領令の最大の信奉者だった


 トランプ大統領が1月27日に電撃的に署名した移民・難民の入国規制に
関する大統領令。


これについては対象となった中東・アフリカ7カ国の人びとだけでなく
米政府内の身内のなかにも反対者がいる。


そんな内外の批判、非難にまったくひるまないのがトランプ大統領だ。


突然の大統領令によって、全米の国際空港で起こった混乱を目の当たり
にしても、「もし入国禁止令を実施の1週間前に発表していたら
その間に悪者がなだれ込んでいただろう」とツイッターで強弁している。


 実は、大統領令の連発はトランプ大統領の専売特許ではない。


日本ではあまり知られていないが、前任のオバマ大統領も大統領令の
最大の信奉者だったことで知られている。


トランプ大統領はそのやり口をトランプ流にかすめ取り、大統領令を
乱発することによって、リベラル派に「どうだ!」と目にもの
見せているともいえるのだ。


 この移民・難民の入国規制に関する大統領令だが、ウォール街の
見るところ、法的な精査をしていないのは確実だ。


骨格を起草したのはスティーブン・バノン首席戦略官・上級顧問であり
もともと保守系メディアの元代表で右派の映画プロデューサーでもある。


彼はイスラムに対して差別的な人物だ。


選挙中はトランプ陣営の最高責任者として指導力を発揮し
政権内では外交・安全保障の司令塔であるNSC(国家安全保障会議)メンバー。


トランプ政権内でも異色な存在である。


 映画プロデューサーでもあるバノン氏と縁のある「映画の街」ハリウッド。


そこはカリフォルニア州の南に位置する。
カリフォルニア南部といえば
かつて日本人を強制収容所に収容した典型的な人種差別の地域であり
いまや主要メディアやインターネットを操るハリウッドパブリシティ
を通じて、「アメリカの世論」を支配している地域でもある。


そんな今日までの歴史的事実について、戦後の日本人はすっかり疎く
なってしまっている。


 ハリウッドのスターの多くは、アメリカ庶民(白人を含む)から
しばしば「ホワイト・アンド・イビル(白人&悪魔)」と呼ばれている。


そんな強い批判を受けている大金持ちだ。


彼らは日本では想像もつかないほど人種差別主義者が多い


そのスターたちを含めハリウッド全体が、大統領選挙中
トランプ候補に対してメディアを通じて徹底的に批判、罵倒してきた。


 ウォール街のコンセンサスでは
ハリウッドの人種差別主義はトランプ陣営のそれとは別の類のものとされる。


その強い人種差別主義を背景に、トランプ氏が大統領になってからも
その批判、罵倒は続いている。


トランプ大統領はそんなハリウッドとメディアが大嫌いであり、恨んでもいる。


アメリカの半分とメディアの大半は敵


 そのトランプ大統領がイスラム差別主義者のバノン氏を使って
大統領令に署名した。


トランプ大統領自身、歴代大統領のなかでも無類のメディア嫌いだが
トランプ大統領にとっての真の大敵はメディアでもハリウッドでもない。


イスラム過激主義者率いるISISである。


ISIS掃討のためなら、ロシアのプーチン大統領と組むのもためらわない。


愛国者であるトランプ大統領にとって、テロとの戦いは至上命令なのだ。


 さて、日本のことをトランプ大統領はどのように思っているのか。


日米首脳会談の前にジェームズ・マティス国防長官を訪日させたが
1月28日の安倍首相との電話会談でトランプ大統領はこう伝えた。


「いちばん信頼している閣僚を送る」と。


日米関係などアジア外交の軸足はバノン氏よりもマティス氏においている。


日本をしっかり守るというトランプ大統領の基本姿勢がそこにある。


 実は、そこを正確に評価するか否かが日米交渉の大きなポイントだ。


日本のメディアは相変わらず被害者意識をあらわにしているように思う。


為替介入をめぐるトランプ大統領の発言を「日本を名指しで批判している」
と伝え、不必要な脅え、不安心理をあおっている。


 トランプ大統領は腹の中では、アメリカの半分とメディアの大半は
敵であり、「トランプを差別している」と思っている。


その差別されている大統領自身がイスラム差別主義者のバノン氏を
使っている。


トランプ大統領はバノン氏のやり口を百も承知のうえで一歩ひいて
バランスをとっているというのが、ウォール街における主流の見方だ。


 日米会談・交渉の成否は「人種差別に左右されないこと」が
キーワードになる。


トランプ政権は、決して日本を差別的な目では見ていない。


まずは、そこをおさえておきたい。1980年代の日米摩擦、その後の
日米構造協議の時のほうが今よりも人種差別的な見方が濃厚だった。


そんな1980年代と今とは違う。


アメリカの庶民感覚では、白人至上主義者のレッテルを貼られた
トランプ大統領より、むしろハリウッドのほうが人種差別主義だ。


 トランプ大統領が日本を差別的な目で見ていない証拠がある。


それは大統領就任前に最初に会った海外首脳が安倍首相だったことだ。


その会談はニューヨークのトランプタワー私邸内で行われたことは周知の
とおり。


そこには
トランプ大統領の娘のイヴァンカと娘婿のジャレット・クシュナー氏も
同席した。


会談後、安倍首相はトランプ大統領について「信頼できる指導者
と語った。


大統領就任前に世界に発信された安倍首相のメッセージは
トランプ次期大統領の胸を打ったに違いない。


あえて極論するが、アメリカの大手メディアはハリウッド流の
人種差別主義の影響下におかれている。その現実を忘れてはならない。


「君のことはイヴァンカが気に入っている」


トランプ大統領によるトヨタ自動車のメキシコ工場に対する
ツイート経由の批判にしても、日本企業への批判ではない。


トヨタをGM、フォードと同列において批判しているのだ。


アメリカの庶民目線からすると、トヨタは立派なアメリカ企業なのである。


それを承知のうえで、トランプ大統領はトヨタをアメリカ企業として
均等なプレッシャーをかけたつもりだったのではないか。


 トランプ政権のなかで日本の存在はクローズアップされている。


トランプ大統領はロシアのプーチン大統領とまだ会っていない。


トランプ大統領にとって、膝を突き合わせて外交交渉ができる
海外首脳はたった2人である。


それは、イギリスのメイ首相と日本の安倍首相だ。


 日本にとって何よりも心強いのが1月28日の電話会談でのトランプ発言だ。


トランプ大統領は安倍首相にこう言った。


「君のことはイヴァンカが気に入っている」と。


目のなかに入れても痛くない最愛の娘の気持ちをわざわざ伝えたのだ。


これは、”We are family”(私たちは家族だ)と言ったも同然である。


10日の首脳会談翌日にパームビーチでゴルフをすることの意味も
きわめて重要だ。


 トランプ大統領がそんな親愛なるメッセージを送っていることに
日本では誰が気付いているのか。


日本のメディアはともかく、もし安倍首相側近や官邸筋が気付いて
いないとすれば、日米交渉の日本側の判断を誤らせることになる。


この認識ギャップが存在するとすれば、それは早急に埋めなければならない。
そうすれば、日米交渉は成功し、今後の日米間の関係強化に大いに
プラスになるだろう。